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読書感想文『殺人鬼-覚醒編-』

続編ですべて完結するのかな?
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・読みやすさ
★★★★☆
・恐怖度
★★★★☆
・大どんでん返し度
★★☆☆☆
・感動度
☆☆☆☆☆
・総合評価
★★☆☆☆



<あらすじ>
伝説の傑作『殺人鬼』、降臨!!’90年代のある夏。双葉山に集った“TCメンバーズ”の一行は、突如出現したそれの手によって次々と惨殺されてゆく。血しぶきが夜を濡らし、引き裂かれた肉の華が咲き乱れる…いつ果てるとも知れぬ地獄の饗宴。だが、この恐怖に幻惑されてはいけない。作家の仕掛けた空前絶後の罠が、惨劇の裏側で読者を待ち受けているのだ。―グルーヴ感に満ちた文体で描かれる最恐・最驚のホラー&ミステリ-。


当時、テレビが壊れた週末。
ホラー映画が観れないと思い暇つぶしになるかと購入した本作。
前評判は「相当グロイ」というので大いに期待する。
おしっこチビるかな!?吐き気を催すかな!?夜、うなされるかな!?




大丈夫でした。


勝手に恐怖度のハードルを上げた私が悪かった。普通に面白いミステリーです。
綾辻先生らしいヒントが終始散りばめられており、ファンは早い段階で違和感に気が付くはず。私もねー、気が付いたー(ちょっと自慢)。よく使うプロットなのに、それをグロで目隠しするから気を逸らされるんです。



「うえぇ・・!」
「痛い~!!」


というように、読者は文章を斜め読みしたり、グロイ箇所を飛ばしたりするのが原因だろうね。事実、犠牲者たちはこの言葉を吐き続けるが・・・。そりゃ痛いだろう、簡単には殺してくれないんだからww
そうやってバレないよう、綾辻先生は根回ししているのだ!


綾辻先生のホラー映画に対するオマージュを感じますね♡



殺人鬼にゴミのように扱われ、楽には殺してくれない犠牲者たちに合掌・・・。

「いっそ一思いに殺してくれ!」
「いやだ!死にたくない!」
「痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い!!」



と、いう小説でした。
わかるか


ホラー映画のように、目の前にバーンッ!と殺人鬼が登場して戦うという事はなく、犠牲者がほぼ不意打ちで襲われるのがね・・・物足りなかった。気絶させるとか、足を千切って逃走できないようにする等・・・もう殺しではなく拷問死だよ。

ホラー映画の鉄則「逃げる」という戦法が通じないのね。逃げることすら叶わんのです。絶望!



『13日の金曜日のジェイソンは優しい』
綾辻先生のお言葉、私も身に沁みます。


自分の内臓を喰わされて死ぬなんて、嫌ですから!

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テーマ : 怪談/ホラー
ジャンル : 小説・文学

読書感想文『慈雨』

遍路巡りのキッカケになった
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・読みやすさ
★★★★☆
・恐怖度
★☆☆☆☆
・大どんでん返し度
★☆☆☆☆
・感動度
★★☆☆☆
・総合評価
★★☆☆☆


警察官を定年退職し、妻と共に四国遍路の旅に出た神場。旅先で知った少女誘拐事件は、16年前に自らが捜査にあたった事件に酷似していた。手掛かりのない捜査状況に悩む後輩に協力しながら、神場の胸には過去の事件への悔恨があった。場所を隔て、時を経て、世代をまたぎ、織り成される物語。事件の真相、そして明らかになる事実とは。安易なジャンル分けを許さない、芳醇たる味わいのミステリー。



定年退職した刑事が、現場におらずとも進行形の事件にどう絡んでいくのか。
読んで気が付いたのだが犯人捜しをする推理小説ではなかった。想定外デス(;・∀・)
あ、もちろん現在進行形の事件は現役刑事が担当しているので犯人は最後に見つかりますよ!


あくまで主人公、神場の40年に渡る刑事生活を回顧し、我ら読者が一緒に遍路旅で聞かされる感じかな。その回顧で彼が定年後も心を覆う事柄が浮かび上がってくるのです。
これは警察組織のあるあるだ。末端刑事と上層部の食い違いが、とんでもない結末を招くとは。その場にいた関係者が封印した消せない過去にずっと縛られる神場の苦悩。

『人生再建』を描いた」と筆者。
筆者が女性だからか、同行する妻の描写が巧いです。
その献身な妻と回る四国八十八カ所は、香川県に住む私には非常に馴染み深い。一番札所 霊山寺から八十八番札所 大窪寺までの2カ月を夫婦二人で黙々と歩き続ける。
旅先では様々な業を背負った人間と出会い、その度に思い出される事件の数々。


そのため一部、だらけてしまうという感想も聞かれるが、神場の刑事人生を幼少期から描くことによって、最後に決断した行動が最高に格好いいんです。

「逃げる人生はごめんだ」


神場を取り巻く現役刑事たちもムチャクチャ男気があってグッときます。
女流作家らしい無骨な文章ではないので男臭さがないのが、惜しいっちゃ惜しいかなぁ。泥臭いのが好みなんで。


この小説を足掛かりに、思い立って私も回ってみました。
なにがって?


お遍路です!!


そのお話はまた次回にでも・・・

テーマ : 小説
ジャンル : 小説・文学

読書感想文『事故物件7日間監視リポート』

いろんな作品内容の寄せ集めに感じた
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・読みやすさ
★★★★☆
・恐怖度
★★☆☆☆
・大どんでん返し度
★☆☆☆☆
・感動度
★☆☆☆☆
・総合評価
★★☆☆☆


<あらすじ>
サーチ会社を営む穂柄は、あるマンションの一室の住み込み調査を依頼される。そこは、7年前に妊婦が凄絶な自殺を遂げた事故物件で、事件後なぜか隣人たちも次々と退去し、現在はその階だけ無人の状態だという。期間は一週間。穂柄はバイトの優馬に部屋で寝泊まりさせ、その様子を定点カメラで管理人室から監視することに。だが、そこで起きることは穂柄の理解を超えていて…。あなたの予想を裏切る、究極の超常(パラノーマル)ホラー。


本書はネット購入だったので、届いた時の薄さにビックリ。
この薄さで恐怖を描き切れるのか!?と不安になりましたが、心配無用でした怖くないのだ。

怖さを感じるよりもデジャブを感じる方が多い。
「どこか見覚えのあるシチュエーションだな」とか「このくだりってアレに似てるな」等、意識がそっちに持ってかれて物語が入ってこなかったです。


本当に物語はシンプル。
7日間、事故物件の部屋に寝泊まりして経過報告をするだけ。主人公は「プロ」だから、クライアントの意向に沿った報告書を上げることもできる。ただ、事実は事実。それがクライアントにどう判断されるか微妙な事ばかり起きるんです。
スタッフの子が問題の部屋にある押入れに入ってたり、急に体を鍛えだしたり。本人に確認すると自覚症状がないんです。
「あれ、どうして押入れに入ってたのかな?」
「無性に体を鍛えたくなったんですよ」

・・・こんなのクライアントに報告するような内容?ってなるけど、実はこういういつもと違うっていうのが怖くないですか?たとえば、いつも定位置に置いてあるモノが、その日は違っていると気持ちが悪い。一人暮らしだとマジで怖くね!?
幽霊がバーンッ!と出てきても怖くないッス、私。←嘘、怖いデス


監視カメラで「それ」が写るも、普通に生身の人間だし(戸締りちゃんとしろ!)、後半、怒涛の人数が部屋に押し寄せてくる頃には、「はて、どういう物語やっけ?」と本末転倒な感覚に襲われる。


冒頭に述べたデジャブは「仄暗い水の底から」「クロユリ団地」「残穢」を彷彿とさせるけど、遠く及ばない。
淘汰されたように見えるが、これらを寄せ集めただけのように思う。


集合住宅地というベースがもう少し活かせてくれたら…。

テーマ : 怪談/ホラー
ジャンル : 小説・文学

読書感想文『クリーピー』

隣人は何をする人ぞ
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・読みやすさ
★★★★☆
・恐怖度
★★★☆☆
・大どんでん返し度
★☆☆☆☆
・感動度
★☆☆☆☆
・総合評価
★★★☆☆


<あらすじ>
大学で犯罪心理学を教える高倉は、妻と二人、一戸建てに暮らす。ある日、刑事・野上から一家失踪事件の分析を依頼されたのを契機として、周囲で事件が頻発する。野上の失踪、学生同士のトラブル、出火した向かいの家の焼死体。だがそれらも、本当の恐怖の発端でしかなかった。「奇妙な隣人」への疑惑と不安が押し寄せる、第15回日本ミステリー文学大賞新人賞受賞作。



最初に映画の存在を知って、原作を手に取りました。
結果、未だに映画は未見です。どうやら映画と原作は多少違うようですね。また観てみよう!


主人公の高倉についてですが、どうしても応援出来ない行動をする。
例えば美人な学生と食事を繰り返す。何もなくても不注意過ぎる。結果、妻に知られることになる。そして対策会議と称し2人で会おうとする学習能力がないのか?

また、心理学者でもあるので、友人から未解決事件の捜査依頼を受けた時にも「裏の裏」を考え過ぎ、結果犯人の方が上手だった。相手がサイコパスだったという不運があるにしろ、メディア露出が多くて研究がおろそかだったんちゃうの?と思ってしまう。


そんな主人公、高倉よりも魅力的だったのが彼の妻だ。
オバサン気質だけど何より洞察力と行動力がずば抜けており、何回も高倉に重要なヒントを与える。
キーマンとなる隣家の家主「西野」をいち早く怪しいと見抜き、その娘を救おうと必死になる。


その問題の隣人「西野」ですが、これもサイコパスと言うには異常性が低いので物足りない。
(異常性に物足りなさを求めるのもアレだな)


ここからは軽くネタバレだけど・・・



妹や弟よりも容姿が劣っているだけで、劣等感に苛まれ性格が歪み「悪の天才」と呼ばれるほど人は残酷になれるのだろうか。
また、ペドフェリア(小児愛者)でありながら、成人女性を暴行できるだろうか。ここが犯人特定がブレてしまった箇所でもあるけど。

常人が理解できないからサイコパスなとはいえ・・。
この異常性、もっともっと前に出せたらトラウマ級にまで上がったろうに。

この他にも「死体移動」の方法が不明確だったり、西野の末路が解せない等(これは皆さん同じ考えかも)、総じて面白い内容な筈が、所々で首をひねってしまうのです。


しかし、大変読みやすかったのは確か。
サラッと読むのに適しており、特に前半の恐怖の描き方は見事でしょう。こういうの、本当に大好きです。

テーマ : SF・ホラー・ファンタジー
ジャンル : 小説・文学

読書感想文『怖い絵』

大塚美術館に行きたくなってきた
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・読みやすさ
★★★★☆
・恐怖度
★★☆☆☆
・大どんでん返し度
★☆☆☆☆
・感動度
★★☆☆☆
・総合評価
★★★☆☆



中野京子先生の膨大な知識量には感服する。
さらにその情報を、驚くほど分かりやすく文章に起こす才能に、またも感服。
1枚の絵に込められた時代・思い・謎・・・そして恐怖をえぐり出し、読者に提供する手腕は見事というしかない。


僭越ながら、私も絵画は好きだ。
知識も毛が生えたくらいは持ち合わせているつもりではあった。しかし中野先生に比べれは、ノミレベルです。




20点の作品で、個人的に恐怖を感じたのが


エドガー・ドガの「踊り子」です。


ドガの作品にはバレエを扱った主題、ことに楽屋や練習風景、舞台袖といった一般人では出入りできない場所での場面を描いたものが多いのですが、それは当時のバレエというものが現代とはあまりにもかけ離れた社交場だったとは知りませんでした。


舞台上で、細く白い手を伸ばして踊る少女。
それを舞台袖で見ている黒服の男性。

この構図は初見だと、支配人が踊り子を舞台袖で見ていると考えますが実際は違う。




その理由を知ると心底「ゾッ」とします。

時代のドス黒い部分を切り取ったドガの洞察力。そして悲哀。天才の筆は見事に描いています。



1点1点を丁寧に説明してくれる中野ワールドにすっかり魅了されました。
怖い絵シリーズは人気となり、続編も大人気。

こうして・・・


この目で確かめたい!という欲求に駆られるという、オマケが付きました。


大塚美術館に再訪したいわ。


テーマ : ブックレビュー
ジャンル : 小説・文学

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