FC2ブログ

読書感想文『葉桜の季節に君を想うということ』

2時間ドラマを観てるよう
20190722235840f7d.jpg
・読みやすさ
★★★☆☆
・恐怖度
★☆☆☆☆
・大どんでん返し度
★★★★☆
・感動度
★☆☆☆☆
・総合評価
★★☆☆☆


<あらすじ>
「何でもやってやろう屋」を自称する元私立探偵・成瀬将虎は、同じフィットネスクラブに通う愛子から悪質な霊感商法の調査を依頼された。そんな折、自殺を図ろうとしているところを救った麻宮さくらと運命の出会いを果たして―。あらゆるミステリーの賞を総なめにした本作は、必ず二度、三度と読みたくなる究極の徹夜本です。
-BOOKデータベースより-


読書好きの方にお借りした歌野作品。
前回レビューした「密室殺人ゲーム王手飛車取り」が自分の好みでなく、幾分の不安があったものの、こちらはかなりの有名作品。受賞歴も多数だし、今回は大丈夫かなとページをめくっていきました。


序盤から「射精」スタート(゚△゚;ノ)ノ シャセー
性描写苦手な人は引くね。
主人公のセックス談義を数ページ読まされることになる。いくら買った女とは言え、「売女!!」と罵る主人公に共感できねーわ。大丈夫か、この小説・・・。


ただ凄いのはね・・・




作者は主人公の性癖を冒頭で描くことで、すでに読者にトリックを仕掛けていたこと。


叙述トリックの最高峰だと賞賛されるのはわかるけど、マジで1行目からトリックです。それが二重にも三重にも仕掛けられてるんだから読者包囲網もいいところ。作者の並々ならぬ意気込みを感じる。それは怖いくらいに。


だから読者様の中には「違和感」を感じる人もいたようです。あのシーンはおかしいとか、台詞が変とか。
私だってこの長編を読み進めると「ん?」と指が止まるページがありました。

主人公の妹の台詞です。

「友達のお見舞いに行くの」


これ、指摘してる人いないけどおかしいなぁって思ったんだよなぁ。さすがです、見抜けなかった!


大どんでん返しのため映像化はほぼ不可能でしょう。
まず冒頭の射精シーンは難しいよなwww

何より読者を驚かすネタバレを何個用意してんだ?ってことです。
「え?」
「ちょっと待って?」
「待って待って待ってーー!」


読後、グッタリを覚悟しましょう。


スポンサーサイト



テーマ : ミステリ
ジャンル : 小説・文学

読書感想文『密室殺人ゲーム王手飛車取り』

不快過ぎる
20190722235754c34.jpg
・読みやすさ
★★★☆☆
・恐怖度
★★★★☆
・大どんでん返し度
★★☆☆☆
・感動度
★☆☆☆☆
・総合評価
★★☆☆☆



<あらすじ>
”頭狂人”“044APD”“aXe(アクス)”“ザンギャ君”“伴道全教授”。奇妙なニックネームの5人が、ネット上で殺人推理ゲームの出題をしあう。ただし、ここで語られる殺人はすべて、出題者の手で実行ずみの現実に起きた殺人なのである。リアル殺人ゲームの行き着く先は!?歌野本格の粋を心して堪能せよ。
-BOOKデータベースより-



発想は面白い。
面白いが、よくこんなことを思いつくなというのが正直な意見。ハッキリ言うと不快。自分の殺人を推理形式するのはいい。机上であればの話ね。しかし殺人は事実だし、それを実行した彼らがまったく反省の色を見せない。反省したらこの推理は成り立たないけどね。どうも不快が先行して、彼らと距離を置いて読んでしまう。

特に最初のaXe(アクス)がおこなう殺人にはマイッタ!
最初の話だから余計なんですが、いったい何人殺すんだ?そして警察の愚鈍さよ。



シンプルな殺人から凝った殺人まで。
東京は簡単に人が死ぬし、死ぬことに世間は興味がないのでしょうか。淋しい街です。


彼らの正体が最後の章で明かされます。
やっぱり!という人もいれば「え?」という正体の人も。そして唐突な尻切れトンボのエンディング。

何じゃこりゃ。




続編が出ていますが、ちょっと私は遠慮しときます。
この世界観、向いてなかったwww

テーマ : ミステリ
ジャンル : 小説・文学

読書感想文『羊たちの儚い祝宴』

よく練られてるなぁ。
20190712000304e28.jpg
・読みやすさ
★★★★☆
・恐怖度
★★★★☆
・大どんでん返し度
★★★☆☆
・感動度
★☆☆☆☆
・総合評価
★★★★☆



<あらすじ>
夢想家のお嬢様たちが集う読書サークル「バベルの会」。夏合宿の二日前、会員の丹山吹子の屋敷で惨劇が起こる。翌年も翌々年も同日に吹子の近親者が殺害され、四年目にはさらに凄惨な事件が。優雅な「バベルの会」をめぐる邪悪な五つの事件。甘美なまでの語り口が、ともすれば暗い微笑を誘い、最後に明かされる残酷なまでの真実が、脳髄を冷たく痺れさせる。米澤流暗黒ミステリの真骨頂。


↑↑このあらすじは誘導されるだけ。
5章に渡る短編はあくまで最終章への布石にすぎない。ちなみに公式のあらすじは第一章。
各章すべてに名前が挙がる「バベルの会」も全様は見えず。それがまさかこんな結末を迎えるとは!
本作は筆者の傑作に間違いないだろう。尊敬の念を抱かずにはいられない。



身内に不幸がありまして
まず最初に伝えたいのは、この5章はすべて戦時、または戦後すぐの時代背景だということ。全章共通する「バベルの会」に入会するには、戦後に財を成したお嬢様しかダメという触りをこの章は担っている。
少女2人の独白形式なのだが、1人目の少女が財閥の娘に仕える話。2人目はその娘の話。
2人目に切り替わった途端に急展開するストーリー。開いた口が塞がらない。マジか。たったそれだけで?女は怖い。



北の館の罪人
ミステリアスなお屋敷に仕える、これまた少女の話。
ネタバレではないので言っておくが、全章が主人公である。だから余計に湿度が高いのかも。ねっとりとした絡みつく情念。
この章はファンに人気があるようです。紫の手袋。ああ、なんというオチだろう!


山荘秘聞
これはね・・・スティーブン・キング作品を思い起こさせました。
雪山・遭難・女・・・
ピンッときました?


玉野五十鈴の誉れ
読者がナンバーワンにあげる章です。
うん、確かに面白い!100ページにも満たない章なのに、名家の少女が波乱の人生を送る。ハラハラしっ放しですよ。表題にある玉野五十鈴は、破綻する彼女に使える女中なんです。女中の話が多いですよね(笑)
章の最後にある行を読んだ時、五十鈴の行為は正義なのかと考えさせられる。『はじめちょろちょろ・・・』



儚い羊たちの祝宴
前章の総仕上げですね。
最終章に登場するのは成金の父親を持つ少女の独白。金に物を言わせた父親が雇った女料理人がとんでもない奴だったのです。凄技で次々と絶品料理を仕上げる女料理人。大満足の父親ですが、金持ちにふさわしい料理、すなわち「滅多に食べられない食材」を欲す。その時、娘は父に代わり「アミルスタン羊」を所望する。女料理人は顔色を変えず、承知し食材を探しに出かけるのだが・・・。

ここにきて前章の少女たちの名前が出てきます。成金娘も「バベルの会」の会員。しかし違うのは彼女だけ除名されたこと。

この除名処分が、まさか晩餐に繋がるなんて・・・


誰が想像できようか!!

女料理人が食材を手に入れるシーンは一切描かれていません。しかし、女料理人の仕事ぶりを細かく描写しているシーンがあり、選ばれた食材で一番のモノを食卓に出すのがモットー。つまりそれ以外はすべて廃棄なんです。

アミルスタン羊を手に入れた女料理人。
その事実を知った成金娘。



バベルという言葉、真っ先に思いつくのはバベルの塔だろう。

バベルの会を神に近づこうとする愚かな人間たちの末路に比喩するとは・・・。


あっぱれ。マイッタ。素晴らしい。


テーマ : ブックレビュー
ジャンル : 小説・文学

読書感想文『第三の時効』

満点
20190528220407602.jpg
・読みやすさ
★★★★★
・恐怖度
★★☆☆☆
・大どんでん返し度
★★☆☆☆
・感動度
★★★★☆
・総合評価
★★★★★∞
←初めて無限大評価したわ



<あらすじ>
殺人事件の時効成立目前。現場の刑事にも知らされず、巧妙に仕組まれていた「第三の時効」とはいったい何か。刑事たちの生々しい葛藤と、逮捕への執念を鋭くえぐる表題作ほか、全六篇の連作短篇集。本格ミステリにして警察小説の最高峰との呼び声も高い本作を貫くのは、硬質なエレガンス。圧倒的な破壊力で、あぶり出されるのは、男たちの矜持だ―。大人気、F県警強行犯シリーズ第一弾。
-BOOKデータベースより-


横溝正史『悪魔の手毬唄』以来の、個人的評価満点の小説。いや、それ以上か。

素晴らしい。

この一言に尽きる。

刑事モノ・公安モノを書かせたら随一の横山秀夫作品は、重厚でいて軽やか。
私もF県警強行犯に入班したい!と思うほど痺れるメンバーのキャラ設定。全6編の短編が織りなす相関図のリアルさ。お見事である。

では、魅力あるF県警強行犯のメンバーと6編を簡単に紹介します。

命令系統順でメインを挙げると・・・
刑事部長 尾関
捜査第一課課長 田畑・・・強行犯1班の元班長
1班 朽木班長・・・異名は「青鬼」捜査手法は「理詰め型」
2班 楠見班長・・・異名は「冷血」捜査手法は「搦手型」「謀略型」
3班 村瀬班長・・・異名は「天才」捜査手法は「閃き型」「天才型」

3人の班長が、独特の目線、捜査方法で事件を解決していくんです。
優秀だがアクが強く、上司の田畑は常に頭を悩ませている。優秀過ぎるがゆえに3人を制御できない。個人的にLOVEなのは朽木班長だな。小説でときめくなんて久しぶり。


「沈黙のアリバイ」
(担当班:1班)
個人的LOVEの朽木率いる1班担当の事件。
拘留期間ギリギリまで罪を認めなかった犯人。公判で一転、無罪を主張して混乱に陥る。果たして犯人の意図は。
 かなりのショートストーリーだけど、朽木の洞察力と犯人逮捕への執念、そして朽木が笑わなくなった過去が少しだけ描かれます。


「第三の時効」
(担当班:2班)
 時効切れを狙い、逃亡中の殺人犯を迎え討つ2班。常に班員と行動を共にしない、元公安の楠見班長が下した「第三の時効」のトリックとは。そして明かされる事件の真実。楠見という強烈なキャラの活躍を次回も見てみたい。


「囚人のジレンマ」
(担当班:1~3班)
 3つの班が各々の事件を追う中、班を束ねる田畑目線で進んでいく。
 自分が最前線で捜査していた頃とは違い、部下たちの行動に戸惑うキャラが良い。裏方として班長のご機嫌を取りながら、記者たちの対応にも奔走する、まさしく中間管理職の悩みを描いている。



「密室の抜け穴」
(担当班:3班)
 村瀬が不在時に、班長代行で捜査していた部下が重責に押し潰される。班長の「器」がどれだけのものか、村瀬が天才と称される理由が最後の最後でわかる。
 3人の班長の中で、比較的感情がわかりやすい村瀬だが、他の2人にはない閃きはさすがと思う。


「ペルソナの微笑」
(担当班:1班)
 1班の中で一番の若手刑事がメインで捜査するパート。
 朽木が彼を人選した理由はなぜか。そしてその期待に応える部下。強行犯の名に恥じない展開に「あっ!」となる。


「モノクロームの反転」
(担当班:1・3班)
 田畑が独断で合同捜査に踏み切った事件。
 互いに競い合い、いがみ合う二班。お互いが掴んだ情報を流すはずもなく、事件は暗礁に乗り上げたかに見えた。しかし、朽木がライバル村瀬に情報を流す。それは朽木が過去に犯した罪の贖罪でもあった。


横山氏は続編を執筆中だそうで、早く読みたくてウズウズしている。遅筆(納得しないと原稿をあげないそうだ)な筆者の完成をただ待つのみ!!


今回はF県警シリーズですが、D県警も人気シリーズですね。「動機」は面白かったなぁ。


一読の価値、大いにアリです!!!

テーマ : ハードボイルド
ジャンル : 小説・文学

読書感想文『邪宗門の惨劇』

「怖ミス」と「バカミス」のギリギリ
20190512234546bfc.jpg
・読みやすさ
★★★★☆
・恐怖度
★★☆☆☆
・大どんでん返し度
★★☆☆☆
・感動度
★☆☆☆☆
・総合評価
★★☆☆☆


<あらすじ>
〈母さん、帰らぬ、さびしいな。金魚を一匹突き殺す まだまだ、帰らぬ、くやしいな。金魚を二匹締め殺す なぜなぜ、帰らぬ、ひもじいな。金魚を三匹捻じ殺す〉―北原白秋の奇妙な童謡『金魚』とともに送られてきた中学時代の同級生からの招待状。東京渋谷区の高級住宅地松涛に建つ洋館を訪れた推理作家・朝比奈耕作を待ち受けていたのは、無限に連なる蝋燭の輝きと美女が二人に死体がひとつ。ワーグナーの歌劇が鳴り響き、金切り声で白秋の詩が朗読される異常空間で何が起きるのか?『館』での殺人の新構想登場。
-BOOKデータベースより-


故 吉村達也氏の作品はクセがなく読みやすい。
テンポよく、サラッとページをめくることが出来る。高野豆腐のようにスーッと入っていく(例えが下手)。
テンポは良いんですが、まず設定が既にバカミスだと思う本作。


そもそも怪しい洋館に、興味本位でノコノコ出向くのは不用心過ぎる。「他言無用」と言われたら余計に警戒すべき。たとえば弱みを握られて仕方なくといった事でもない限り冷静に考えるべきだろう。
私はミステリーを読む時、自分もその状況に身を置くタイプ。メンバーと一緒に恐怖を味わうのではなく、冷静に現場検証するのです。つまり、どこかに「ネタバレ」が隠れてないかを探す。


主人公、朝比奈とは別に、洋館には既に先客2人がいて、少ないながらも情報をくれる。つまり3人で力を合わせて洋館を脱出するのだ。照明の無い館内に、おびただしい数のロウソクだけが視覚の頼りというのも、状況づくりを上手に演出していると思う。

どうして3人が洋館に呼ばれてたのか、理由を考える時間を与えられています。けれど頼りのロウソクが3本になった時、思考回路は視界と同じく狭まっていき、疑心暗鬼へと繋がっていく。
3人の過去の延長線上に見える「ある人物」の存在が浮かび上がった時、唐突に発生する殺人事件。


死体は血だらけで転がり、それは彼らを呼んだ人物ということで唖然です。
発狂してもおかしくないほど恐ろしいはず。1人は恐怖でパニックを起こしますが、2人は至って冷静です。殺人が起きれば死に物狂いで脱出を考えるでしょうが、犯人を刺激する可能性もありますからね。


謎の洋館の雰囲気はよくできています。
それ故に朝比奈という男が、2人の美女に恋慕されてる部分は余計っぽい気がします。人物の奥行きを出したかったのでしょうけど、私は朝比奈を好きになれん(笑)



肝心の犯人ですが、想像通りでした。これは誰もが想像できる範囲ですね。
そして洋館を使ったトリックは、犯人の底知れぬ憎悪が生み出した舞台だったのです。この洋館に思い入れ等は一切なかった(笑)だけど、舞台は整ったのです。


「そこまでするか?」

という犯人の行動。
凄いです。
恨みはね、人によって違うと思うけど執念ですよ。規模が大きいほどここまで遂行する労力と時間を掛けられるのだ。



だから犯人が「真実」を知った時の衝撃は、それに比例するでしょう。



一番悲劇なのは、犯人によって逆恨みされ殺された最後の犠牲者だろうな。


テーマ : ミステリ
ジャンル : 小説・文学

FC2カウンター
最新記事
最新コメント
月別アーカイブ
最新トラックバック
カテゴリ
プロフィール

智副教官

Author:智副教官
FC2ブログへようこそ!

フリーエリア
検索フォーム
RSSリンクの表示
リンク
ブロとも申請フォーム

この人とブロともになる

QRコード
QR