FC2ブログ

読書感想文『羊たちの儚い祝宴』

よく練られてるなぁ。
20190712000304e28.jpg
・読みやすさ
★★★★☆
・恐怖度
★★★★☆
・大どんでん返し度
★★★☆☆
・感動度
★☆☆☆☆
・総合評価
★★★★☆



<あらすじ>
夢想家のお嬢様たちが集う読書サークル「バベルの会」。夏合宿の二日前、会員の丹山吹子の屋敷で惨劇が起こる。翌年も翌々年も同日に吹子の近親者が殺害され、四年目にはさらに凄惨な事件が。優雅な「バベルの会」をめぐる邪悪な五つの事件。甘美なまでの語り口が、ともすれば暗い微笑を誘い、最後に明かされる残酷なまでの真実が、脳髄を冷たく痺れさせる。米澤流暗黒ミステリの真骨頂。


↑↑このあらすじは誘導されるだけ。
5章に渡る短編はあくまで最終章への布石にすぎない。ちなみに公式のあらすじは第一章。
各章すべてに名前が挙がる「バベルの会」も全様は見えず。それがまさかこんな結末を迎えるとは!
本作は筆者の傑作に間違いないだろう。尊敬の念を抱かずにはいられない。



身内に不幸がありまして
まず最初に伝えたいのは、この5章はすべて戦時、または戦後すぐの時代背景だということ。全章共通する「バベルの会」に入会するには、戦後に財を成したお嬢様しかダメという触りをこの章は担っている。
少女2人の独白形式なのだが、1人目の少女が財閥の娘に仕える話。2人目はその娘の話。
2人目に切り替わった途端に急展開するストーリー。開いた口が塞がらない。マジか。たったそれだけで?女は怖い。



北の館の罪人
ミステリアスなお屋敷に仕える、これまた少女の話。
ネタバレではないので言っておくが、全章が主人公である。だから余計に湿度が高いのかも。ねっとりとした絡みつく情念。
この章はファンに人気があるようです。紫の手袋。ああ、なんというオチだろう!


山荘秘聞
これはね・・・スティーブン・キング作品を思い起こさせました。
雪山・遭難・女・・・
ピンッときました?


玉野五十鈴の誉れ
読者がナンバーワンにあげる章です。
うん、確かに面白い!100ページにも満たない章なのに、名家の少女が波乱の人生を送る。ハラハラしっ放しですよ。表題にある玉野五十鈴は、破綻する彼女に使える女中なんです。女中の話が多いですよね(笑)
章の最後にある行を読んだ時、五十鈴の行為は正義なのかと考えさせられる。『はじめちょろちょろ・・・』



儚い羊たちの祝宴
前章の総仕上げですね。
最終章に登場するのは成金の父親を持つ少女の独白。金に物を言わせた父親が雇った女料理人がとんでもない奴だったのです。凄技で次々と絶品料理を仕上げる女料理人。大満足の父親ですが、金持ちにふさわしい料理、すなわち「滅多に食べられない食材」を欲す。その時、娘は父に代わり「アミルスタン羊」を所望する。女料理人は顔色を変えず、承知し食材を探しに出かけるのだが・・・。

ここにきて前章の少女たちの名前が出てきます。成金娘も「バベルの会」の会員。しかし違うのは彼女だけ除名されたこと。

この除名処分が、まさか晩餐に繋がるなんて・・・


誰が想像できようか!!

女料理人が食材を手に入れるシーンは一切描かれていません。しかし、女料理人の仕事ぶりを細かく描写しているシーンがあり、選ばれた食材で一番のモノを食卓に出すのがモットー。つまりそれ以外はすべて廃棄なんです。

アミルスタン羊を手に入れた女料理人。
その事実を知った成金娘。



バベルという言葉、真っ先に思いつくのはバベルの塔だろう。

バベルの会を神に近づこうとする愚かな人間たちの末路に比喩するとは・・・。


あっぱれ。マイッタ。素晴らしい。


スポンサーサイト



テーマ : ブックレビュー
ジャンル : 小説・文学

コメントの投稿

非公開コメント

FC2カウンター
最新記事
最新コメント
月別アーカイブ
最新トラックバック
カテゴリ
プロフィール

智副教官

Author:智副教官
FC2ブログへようこそ!

フリーエリア
検索フォーム
RSSリンクの表示
リンク
ブロとも申請フォーム

この人とブロともになる

QRコード
QR