ホラーじゃないよっ!『悪魔の手毬唄』
2014-11-09 07:00
ホラーじゃないけど怖い

前回、小説にて悪魔の手毬唄を紹介させてもらいましたが、映像化されても一級品でしたのでレビューさせて下さいませ。
個人的には「犬神家の一族」や「八墓村」よりも好きです。
そして金田一耕助役は石坂浩二が一番と思ってしまうのです。
ファンの皆様が言ってらっしゃるように、金田一シリーズは連続殺人が基本です。いわゆる「金田一耕助の防御率の低さ」を言っているのですが、これは仕方ありません。
だって金田一さんは事件解明のために、ちょくちょく出張されるのです。で、帰ってくると数人死んでいるのです・・・。不確定であれば警察にも腹の内を明かさない、金田一先生の実直さが、犠牲者の数字を高めているのかもしれません。
ちなみに平均4.2人だそうです。
皆さんご存知、金田一耕助(石坂浩二)です。

やっぱりこの方の金田一が好きです。しかし若い・・・。
「金運!なんでも鑑定団」出演の姿を見ると老けたな~と思いますから。
時は昭和30年。
金田一、今回は岡山県と兵庫県の県境にある「鬼首村」に滞在してます。
滞在先である亀の湯の女将、青池リカ(岸 恵子)には悲しい過去がありました。

23年前に、夫の源治郎が村にやって来た詐欺師、恩田幾三によって殺されてしまったのです。恩田はその後、行方不明のまま、事件は迷宮入りとなってしまいました。
リカには、村の好青年である息子の歌名雄(北 公次)と・・・

体半分が赤痣に染まった里子(永島映子)がいました。

本作のもう一人の主人公と言っていいでしょう。

磯川警部(若山 富三郎)は、23年前に起きた未解決事件に並々ならぬ執念を抱いているのです。金田一を亀の湯に滞在させたのも、金田一に事件解決の依頼をする為です。

顔が焼き焦がされた状態で発見された源治郎ですが、恩田が見つかっていないのを考えると、実は殺されたのは恩田で、犯人と被害者があべこべではないかというのが、磯川警部の推理なのでした。
しかし、昭和30年の寒村を撮影するにあたり、こんな素晴らしい情景があるでしょうか。

岡山の県境に行けば、今でもこういう風情に出会えるのかなぁ。・・・と思ったら、山梨県に今でも残っている家屋だそうです。
そんな亀の湯で、金田一は老人と出会います。その前にお湯の色が気になりますが・・・。

昔、鬼首村の庄屋であった、多々良放庵(中村 伸郎)は、日頃の不摂生と金遣いが荒い事で家を潰してしまい、今では隠居生活を送っています。そんな放庵が金田一に代筆を依頼してきました。
右手が不自由なのです。
そして、リカのもとに訪れる仁礼家の嘉平(辰巳 柳太郎)。

鬼首村を統治している仁礼家の娘、文子と歌名雄の縁談を持ち込むのです。
初見の方は、ここまでで何が起きるか予想もつかないでしょう。
しかし、この人間関係が壮絶な殺人事件の幕開けになるのです。
翌日、金田一は放庵のボロ家に向かいます。想像以上のボロさ・・・。金田一も絶句気味です。

代筆の内容は、放庵の5番目の妻おはん(小説はおりんではなかったかな)、が復縁を望む手紙を寄こしたので、その快諾の意をという事でした。
金田一は、下書きも含めて全て書いてやり、多々良邸を後にします。
亀の湯で落ち合った金田一と磯川警部。

警察が探偵に捜査を依頼するなんて聞いたことが無いと、金田一は呆れますが、捜査に乗り出すのです。
捜査の為に総社に向かった金田一。峠で出会ったのは老婆でした。

「お庄屋さんの所に戻って参りました。おはんでございます。どうぞ可愛がってつかあさい」
ああ、あれが庄屋さんが言っていた5番目の奥さんかと見送る金田一。
行方不明の恩田が利用していたと思われる旅館では、いと(山岡 久乃)が応対します。恩田と逢引を重ねていた鬼首村の別所春江(渡辺 美佐子)は、恩田の子供を身ごもり、村に居づらくなった流れで村を離れていたのでした。
春江の娘、千恵(仁科 明子)は立派に育ち、凱旋を兼ねて鬼首村に戻って来るのでした。

「そう言えば、おはんさんと言う人がお庄屋さんの元に戻ってきたようですね」

金田一の何気ない一言に、ゾッとするいと。
「おはんさんなら、去年亡くなりましてん・・・」
この山岡久乃の演技、好きだなぁ・・・。
放庵の身を案じた金田一は、鬼首村にいる磯川警部に連絡を取り、放庵宅に向かうのですが大量の吐血痕を残したまま、放庵の姿は消えていたのです。

中村巡査(岡本 信人)を筆頭に、村中を捜すのですが見つかりません。
そして、鬼首村における陰惨な連続殺人が始まるのです。
金田一シリーズになくてはならない立花警部(加藤 武)登場。

彼の「よし!わかった!」の名台詞と、粉薬噴出シーンは名物となっていますね。
ぎょっとする立花警部の視線の先には・・・。
ん、人形!?

じゃなかった、由良家の娘、泰子でした。泰子と歌名雄は周知の間柄、つまりは恋人だったのです。

彼女の死は、村に激震が走ります。
仁礼家と対立している由良家の娘が殺された事もそうですが、死体の状況があまりにも特徴的なのです。

由良家で実権を握っている敦子(草笛 光子)は、娘の死体に仁礼家の漏斗と升があるのに気が付き、仁礼嘉平に詰め寄ります。
この殺人事件に使われた漏斗と升が出てくる手毬唄を、由良の大婆が知っていると聞きつけた金田一たちは、さっそく聴きに向かいます。

手毬唄を聴いた金田一は絶句です。
聴いた限りでは、他にも殺される可能性がある娘たちがいるのです。この時点では彼の憶測なのですが・・・。
泰子の葬式では、死んだ源治郎の妻リカと、源治郎を殺害した犯人の恋人であった春江が再会し、複雑な過去を抱えつつも「昔の事だから」と話すのです。

しかし、2人には同じ歳の娘がおり、過去だからと流せるものでもありません・・・。成功した娘と、痣を持つ娘。あまりにも境遇が違い過ぎます。
例によって例の如く、金田一は1人捜査をするため鬼首村を離れてしまい、磯川警部だけが鬼首村に残っています。立花警部もいますが、まあ想像通り役には立ちません。彼の立ち位置はそういうモンです(笑)

23年前に源治郎を検死した権堂医師(大滝 秀治)の元を訪れた磯川警部。
検死した死体に身体的特徴がなかったかと、再度確認を依頼します。これが事件解決の糸口になってきます。
金田一が不在だと、殺人は加速します。
次は仁礼家の文子が殺されます。
金田一シリーズ屈指のインパクトさ!!

写メを撮りましたが、かなりビビりますよ(笑)
そして、リカの、娘里子も殺されてしまい、鬼首村で殺された娘は3人になってしまいました。奇しくも殺された3人と、千恵の4人はすべて同じ年齢。
それぞれの母親には、とんでもない過去がありました。

そう、もちろんリカにもです・・・。

犯人がわかったとき、私は涙で画面が見えませんでした。

このシーン、毎回泣きます。泣かない人はいるのでしょうか。こんな悲しい最期ってあるんでしょうか。
事件解決後、金田一が磯川警部に言った言葉・・・。

「磯川さん、あなた○○さんを愛しておられたんですね」
ギュッと胸が苦しくなる言葉でした・・・。
★★★★★★★
小説よりも、簡素に訂正されている映画版は、出演者全員の演技の技量の素晴らしさでカバーできていると思います。有名な犬神家の一族よりも、ずっとずっとこちらの方が大好きです。
金田一映画の常連である、加藤 武、草笛 光子、大滝 秀治も役どころは違えどさすがの存在感です。
本当に非の打ちどころがないんです(笑)
泰子の死体の人形はアカンですけどね
小説を読んだ父親とDVDを観賞していましたが、父親も声を詰まらせていました。最近、父も涙もろくなったな~。
小説との違いについて談義するのも、また楽しいモンですね!

前回、小説にて悪魔の手毬唄を紹介させてもらいましたが、映像化されても一級品でしたのでレビューさせて下さいませ。
個人的には「犬神家の一族」や「八墓村」よりも好きです。
そして金田一耕助役は石坂浩二が一番と思ってしまうのです。
ファンの皆様が言ってらっしゃるように、金田一シリーズは連続殺人が基本です。いわゆる「金田一耕助の防御率の低さ」を言っているのですが、これは仕方ありません。
だって金田一さんは事件解明のために、ちょくちょく出張されるのです。で、帰ってくると数人死んでいるのです・・・。不確定であれば警察にも腹の内を明かさない、金田一先生の実直さが、犠牲者の数字を高めているのかもしれません。
ちなみに平均4.2人だそうです。
皆さんご存知、金田一耕助(石坂浩二)です。

やっぱりこの方の金田一が好きです。しかし若い・・・。
「金運!なんでも鑑定団」出演の姿を見ると老けたな~と思いますから。
時は昭和30年。
金田一、今回は岡山県と兵庫県の県境にある「鬼首村」に滞在してます。
滞在先である亀の湯の女将、青池リカ(岸 恵子)には悲しい過去がありました。

23年前に、夫の源治郎が村にやって来た詐欺師、恩田幾三によって殺されてしまったのです。恩田はその後、行方不明のまま、事件は迷宮入りとなってしまいました。
リカには、村の好青年である息子の歌名雄(北 公次)と・・・

体半分が赤痣に染まった里子(永島映子)がいました。

本作のもう一人の主人公と言っていいでしょう。

磯川警部(若山 富三郎)は、23年前に起きた未解決事件に並々ならぬ執念を抱いているのです。金田一を亀の湯に滞在させたのも、金田一に事件解決の依頼をする為です。

顔が焼き焦がされた状態で発見された源治郎ですが、恩田が見つかっていないのを考えると、実は殺されたのは恩田で、犯人と被害者があべこべではないかというのが、磯川警部の推理なのでした。
しかし、昭和30年の寒村を撮影するにあたり、こんな素晴らしい情景があるでしょうか。

岡山の県境に行けば、今でもこういう風情に出会えるのかなぁ。・・・と思ったら、山梨県に今でも残っている家屋だそうです。
そんな亀の湯で、金田一は老人と出会います。その前にお湯の色が気になりますが・・・。

昔、鬼首村の庄屋であった、多々良放庵(中村 伸郎)は、日頃の不摂生と金遣いが荒い事で家を潰してしまい、今では隠居生活を送っています。そんな放庵が金田一に代筆を依頼してきました。
右手が不自由なのです。
そして、リカのもとに訪れる仁礼家の嘉平(辰巳 柳太郎)。

鬼首村を統治している仁礼家の娘、文子と歌名雄の縁談を持ち込むのです。
初見の方は、ここまでで何が起きるか予想もつかないでしょう。
しかし、この人間関係が壮絶な殺人事件の幕開けになるのです。
翌日、金田一は放庵のボロ家に向かいます。想像以上のボロさ・・・。金田一も絶句気味です。

代筆の内容は、放庵の5番目の妻おはん(小説はおりんではなかったかな)、が復縁を望む手紙を寄こしたので、その快諾の意をという事でした。
金田一は、下書きも含めて全て書いてやり、多々良邸を後にします。
亀の湯で落ち合った金田一と磯川警部。

警察が探偵に捜査を依頼するなんて聞いたことが無いと、金田一は呆れますが、捜査に乗り出すのです。
捜査の為に総社に向かった金田一。峠で出会ったのは老婆でした。

「お庄屋さんの所に戻って参りました。おはんでございます。どうぞ可愛がってつかあさい」
ああ、あれが庄屋さんが言っていた5番目の奥さんかと見送る金田一。
行方不明の恩田が利用していたと思われる旅館では、いと(山岡 久乃)が応対します。恩田と逢引を重ねていた鬼首村の別所春江(渡辺 美佐子)は、恩田の子供を身ごもり、村に居づらくなった流れで村を離れていたのでした。
春江の娘、千恵(仁科 明子)は立派に育ち、凱旋を兼ねて鬼首村に戻って来るのでした。

「そう言えば、おはんさんと言う人がお庄屋さんの元に戻ってきたようですね」

金田一の何気ない一言に、ゾッとするいと。
「おはんさんなら、去年亡くなりましてん・・・」
この山岡久乃の演技、好きだなぁ・・・。
放庵の身を案じた金田一は、鬼首村にいる磯川警部に連絡を取り、放庵宅に向かうのですが大量の吐血痕を残したまま、放庵の姿は消えていたのです。

中村巡査(岡本 信人)を筆頭に、村中を捜すのですが見つかりません。
そして、鬼首村における陰惨な連続殺人が始まるのです。
金田一シリーズになくてはならない立花警部(加藤 武)登場。

彼の「よし!わかった!」の名台詞と、粉薬噴出シーンは名物となっていますね。
ぎょっとする立花警部の視線の先には・・・。
ん、人形!?

じゃなかった、由良家の娘、泰子でした。泰子と歌名雄は周知の間柄、つまりは恋人だったのです。

彼女の死は、村に激震が走ります。
仁礼家と対立している由良家の娘が殺された事もそうですが、死体の状況があまりにも特徴的なのです。

由良家で実権を握っている敦子(草笛 光子)は、娘の死体に仁礼家の漏斗と升があるのに気が付き、仁礼嘉平に詰め寄ります。
この殺人事件に使われた漏斗と升が出てくる手毬唄を、由良の大婆が知っていると聞きつけた金田一たちは、さっそく聴きに向かいます。

手毬唄を聴いた金田一は絶句です。
聴いた限りでは、他にも殺される可能性がある娘たちがいるのです。この時点では彼の憶測なのですが・・・。
泰子の葬式では、死んだ源治郎の妻リカと、源治郎を殺害した犯人の恋人であった春江が再会し、複雑な過去を抱えつつも「昔の事だから」と話すのです。

しかし、2人には同じ歳の娘がおり、過去だからと流せるものでもありません・・・。成功した娘と、痣を持つ娘。あまりにも境遇が違い過ぎます。
例によって例の如く、金田一は1人捜査をするため鬼首村を離れてしまい、磯川警部だけが鬼首村に残っています。立花警部もいますが、まあ想像通り役には立ちません。彼の立ち位置はそういうモンです(笑)

23年前に源治郎を検死した権堂医師(大滝 秀治)の元を訪れた磯川警部。
検死した死体に身体的特徴がなかったかと、再度確認を依頼します。これが事件解決の糸口になってきます。
金田一が不在だと、殺人は加速します。
次は仁礼家の文子が殺されます。
金田一シリーズ屈指のインパクトさ!!

写メを撮りましたが、かなりビビりますよ(笑)
そして、リカの、娘里子も殺されてしまい、鬼首村で殺された娘は3人になってしまいました。奇しくも殺された3人と、千恵の4人はすべて同じ年齢。
それぞれの母親には、とんでもない過去がありました。

そう、もちろんリカにもです・・・。

犯人がわかったとき、私は涙で画面が見えませんでした。

このシーン、毎回泣きます。泣かない人はいるのでしょうか。こんな悲しい最期ってあるんでしょうか。
事件解決後、金田一が磯川警部に言った言葉・・・。

「磯川さん、あなた○○さんを愛しておられたんですね」
ギュッと胸が苦しくなる言葉でした・・・。
★★★★★★★
小説よりも、簡素に訂正されている映画版は、出演者全員の演技の技量の素晴らしさでカバーできていると思います。有名な犬神家の一族よりも、ずっとずっとこちらの方が大好きです。
金田一映画の常連である、加藤 武、草笛 光子、大滝 秀治も役どころは違えどさすがの存在感です。
本当に非の打ちどころがないんです(笑)
泰子の死体の人形はアカンですけどね

小説を読んだ父親とDVDを観賞していましたが、父親も声を詰まらせていました。最近、父も涙もろくなったな~。
小説との違いについて談義するのも、また楽しいモンですね!
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